ディーゼル車のDPFフィルターとは?|エンジンの仕組みや再生・強制燃焼も解説

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ディーゼルエンジン車に必須のDPFフィルターについて、どのような機能なのか、なぜ必須なのかなど疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、DFPとは何か、構造や再生方法、放置した場合に起こるリスク、DFPの警告灯が点灯したときの対処法などを徹底解説します。

ぜひ参考にして、自車のDFPを適切に管理しましょう。

目次

そもそもDPFとは

DPF(Diesel Particulate Filter)とは、ディーゼル微粒子フィルターのことで、排気ガスに含まれるPM(粒子状の物質であるスス)をフィルターに捕り集めて、大気中にPMを排出しないようにする装置のことです。

1994年に短期規制の導入で、PM排出規制が開始。

以降、徐々に規制が厳しくなり、2005年に導入された新長期規制では、PMの規制値を1994年比の4%にまで低減するように取り決められました。

参照:自動車排出ガス規制の強化(ポスト新長期規制)について~新車のディーゼル車等に対し平成21年10月から順次強制適用~|国土交通省

なぜディーゼル車にDPFが必要なのか

ディーゼルエンジンは構造上、PMを排出してしまいます。

そのため、大気中にPMを排出させないDPF装置が必須です。

2000年以降に生産されたディーゼルトラックは、ほぼ全てにDPFが標準装備されていますが、標準装備されていない車輌にはDPFを後付けできます。

DPFの歴史

1980年代、世界で初めてメルセデス・ベンツがDPFの採用を始めました

しかし、トラブルが多かったためDPFの試みは失敗に終わっています。

その20年後の2000年代に入り、排出ガス規制が強化される中で、プジョーシトロエングループ(グループPSA)がDPF付きの車両販売を始めました

グループPSAとは、プジョー、シトロエン、DSオートモービル、オペル、ボクスホールからなる自動車の製造・販売を行っていたフランスの多国籍企業で現在は存在していない。

以降、世界中の自動車メーカーがDPFを採用し、今では新車でDPFの付いていない車両を探すのが難しいほど普及しています。

また、一般的な「クリーンディーゼル」とは、厳しい排気ガス規制に対応した最新のディーゼルエンジンのことを指します。

DPFの構造

DPFは細かい穴がたくさんある多孔質のセラミックスで構成されており、蜂の巣のような見た目が特徴です。

参照:DPF ディーゼル・パティキュレート・フィルター|IBIDEN

出入口を交互に塞いだ形状になっているため、排気ガスは必ず多孔質のセラミックス壁を通ることになります。

排気ガスがセラミックス壁を通過する際に、PMだけが分離してキャッチされるため、クリーンな排気ガスを排出できる仕組みです。

DPF再生の仕組みと流れ

DPFは使い続けるとフィルターが目詰まりするので、一定量のPMが溜まると走行中にDPF内の温度を高温にして、PMを燃焼除去する自動燃焼が始まります。

DPF内部のPMを燃やし切ってしまうことで、目詰まりを解消するのです

しかし、低速運転や短距離走行、ストップ&ゴーが多い車輌などは、DPF内の温度が上がらず、燃焼できずに残ってしまいます。

その場合は、手動再生の合図であるインジケーターランプが点滅を始めます。

点滅が始まったら、速やかに安全な場所に車輌を停車して自動再生を始めましょう。

点滅してから50㎞ほどは走行可能です。

DPF再生ボタンを押すと高回転のアイドリングが始まり、DPF内の温度を上げてPMを燃焼除去できます。

DPFの再生方法4種類

本章では、DPFの再生方法を4つ紹介します。

方法は以下のとおりです。

  • 自然再生
  • 自動再生
  • 手動再生
  • 強制再生

それぞれ解説します。

自然再生

自然再生は、走行中にDPFの温度が上昇し、自然にPMが燃えて無くなることです。

ただし、市街地などを普通に走行して、DPFがPMの燃える高温度まで上昇することはほとんどありません。

自動再生

自然再生は、PMの堆積量がある一定値を超えた際に、車に搭載されているコンピューターがPMを燃焼できる温度までDPFの温度を上昇させ、自動的に燃焼除去することです。

メインの燃料噴射の後に、少量の燃料を噴射するポスト噴射を行い、排気温度を上昇させてDPF内に溜まったPMを燃やして取り除きます。

手動再生

自然再生や自動再生では燃焼が追いつかなかった場合、手動で再生を行います

たとえば、渋滞に巻き込まれた場合などに起きやすいので、注意しておきましょう。

手動再生は、停車状態で再生ボタンを押すことで実施できます

強制再生

強制再生は、ディーラーや特定の整備工場でしか実施できない再生方法です。

コンピューター制御によって強制的にDPF内部を高温にし、PMを取り除きます。

ただし、強制再生を繰り返すとDPFに負担がかかり、DPF自体が溶けて欠損してしまうリスクが高まります。

強制再生後に約3週間ほどで再度ランプが点灯する際は、DPF触媒の交換や洗浄が必要です。

燃焼できない「アッシュ」とは

DPFの燃焼を行い、PMを取り除いていても必ず「アッシュ」が根詰まりしてしまいます

アッシュとは、焼き払ったPMから出た少量の灰のこと

灰が堆積していく過程で硫酸カルシウムという成分の塊となり、詰まってしまいます。

アッシュは燃えず残り続けていくため、定期的な点検が必要です。

ただし、現在では灰が溜まらない「idemitsu AshFree」などのオイルも販売されています。

DPFを放置し続けると起こるリスク

再生不可が起こることはもちろんですが、PMが異常に堆積した状態で手動再生をおこなうと、異常燃焼を起こしDPFの破損につながります。

破損や欠損が起これば、壊れたDPFは再度使用できないため交換が必要です

DPF交換となれば費用がかかることはもちろん、仮に商業車だった場合には、修理中は車両を使うこともできません。

さまざまなコストとリスクが潜んでいます。

まずはDPFの特性を知り、トラブルにならないような乗り方を心がけましょう。

DPFの交換費用の目安

本章では、DPFの交換費用の目安を紹介します。

  • 普通乗用車:約20万~
  • 2tトラック:約40万~
  • 4tトラック:約60万~
  • 10tトラック:約100万~

また、費用以外にも、3日以上の休車期間や別途工賃も必要です。

損失のコストを押さえるためにも、しっかりとDPFのチェックを日頃から行うことが重要といえるでしょう。

DPFの目詰まりを軽減するには

DPFの目詰まり軽減や、エンジン自体の保護、長寿命化のためにはエンジンオイルの見直しがポイントです。

まずは、DPFに適合したJASO「DH-2」認証オイルの使用が基本。

参照:DPF目詰まりの要因と目詰まり軽減のためのエンジンオイル選定|シェル ルブリカンツジャパン株式会社

DH-2認証オイルなら「シェル リムラ R3 L」がおすすめです。

粘度グレードが「15W-40」「10W-30」があるので、車の推奨粘度や走行状況などを考慮してオイルを選びましょう。

また、下記の2つのポイントも、DPFの目詰まりを軽減するポイントです。

  • カーボン生成量が少ないエンジンオイル
  • 飛沫量や蒸発量の少ないエンジンオイル

それぞれ参考にしてください。

まとめ

DPFは、ディーゼルエンジン車のPM(スス)をキャッチして排出させない大切な役割を担う装置です。

また、PMが溜まることでDPFが目詰まりを起こすため、定期的な燃焼や点検が大切です。

目詰まりしたまま放置すると、DPFの欠損や破損につながり、DPF自体を交換しなければなりません。

DPFを安全に長く使うためにも、定期的な点検はもちろん、適切なエンジンオイルの選別が重要です。

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